社会保険庁の抜本改革は実現するのか

執筆者:山田利三2007年5月号

組織の解体・改革を手ばやく進め、年金そのものの信頼回復と制度立て直しを図るべきなのに、厚労省などは抵抗三昧。はたして成算は――。 三月二十八日早朝、東京・虎ノ門。ホテルオークラ地階の料理店「山里」では、自民、公明両党の幹事長、政調会長、国対委員長が朝食の席を囲んでいた。会食の話題は、今国会に提出された法案を審議する優先順位だった。「労働法制が先ではないですか。安倍(晋三)総理の『再チャレンジ』にも合致しますし」 話が厚生労働分野の法案に及ぶと、公明党の北側一雄幹事長は、残業代の割増率アップなどを盛り込んだ労働基準法改正案など労働関連の三法案を先に審議するよう求めた。それに対して自民党の中川秀直幹事長、二階俊博国対委員長らはやんわりと反論した。「いや、総理は社会保険庁の解体を言っておられる。社保庁改革に道筋をつけるのが先でしょう」 国会の会期は六月二十三日まで。七月二十二日に参議院選挙を控えているため、延長は難しい。さらに会期中に参院選の前哨戦とされる統一地方選挙(四月八日、二十二日)や福島、沖縄両県での参院補欠選挙(四月二十二日)がはさまり、法案の審議日程は極めて窮屈だ。厚労分野の大型法案は労働関連法案と社保庁改革法案だが、審議が後回しになった方は成立に黄信号が灯りかねない。

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