インドネシアのジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は、3月22日から28日にかけて日本と中国を公式訪問した。昨年10月に大統領に就任したジョコウィは、国際会議に出席するために外遊することはあっても、特定の国の首脳と交渉するための外遊には消極的だった。国際会議以外での外遊は、今年2月のフィリピン、ブルネイ、マレーシア歴訪が唯一のものである。そのため、今回の訪日と訪中は、東南アジア域外の国としては初の外遊であった。

 

日中歴訪の目的

 域外国として初の外遊先が日本と中国であることは、インドネシアが東アジアの2つの大国である日本と中国を重視していることの表れである。日本は、インドネシアにとって最大の援助供与国であるとともに、第2位の貿易相手国、第1位の投資国である。一方、中国は、2013年に日本を抜いて最大の貿易相手国となっている。日中両国にとっても、東南アジアの大国であるインドネシアは、経済、政治・安全保障の両面で自国の優位性を維持するために欠かせないパートナーである。ジョコウィ大統領にとっては、インドネシアの戦略的有用性を活かしていかに多くの協力を日中両国から引き出すかが、今回の歴訪の目的であった。

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