都市ロンドンの大いなる変貌

執筆者:マイケル・ビンヨン2007年6月号

やがてニューヨークを抜き、世界一の金融センターの座をうかがうロンドン。いま活況を呈するこの街の姿をイギリスきってのジャーナリストが描く。踊る倫敦――。[ロンドン発]踊るロンドン――一九六〇年代、ロンドンは世界の文化の中心だった。ビートルズ、ファッション、学生運動、映画、自由奔放な若者……堅苦しい帝国主義のイメージをかなぐり捨て、イギリスが目の前の快楽を追って“今を生きた”時代だった。 そして再び、ロンドンがスウィングし始めている。ただし、六〇年代と違い、現代のロンドンが先端を走るのはファッションや娯楽ではない。いまやロンドンは、世界で最も重要な金融とビジネスの中心として、ニューヨークの地位を脅かすまでになっている。大英帝国の絶頂期が過ぎて以来、今日ほど、この古い街が忙しく活気に満ち、豊かで、世界に影響力をもったことはない。 ロンドンには、他のヨーロッパやアジアのどの都市よりも多くの銀行家、投機家、そしてディーラーが集中する。ロンドンは各地の外国為替市場をつなぐ拠点であり、ヨーロッパ中の企業が資金調達をする場であり、最大のユーロ債発行市場でもある。さらにはロシア、インド、中国といった東方に広がる巨大新興市場との結びつきを急速に強めている。世界中から株式上場を目論む大企業が押し寄せるばかりか、世界のベンチャー企業が株式を新規公開する場所としてロンドンを選択するようになっている。モスクワやムンバイ(旧ボンベイ)からは、野心満々のビジネスマンが続々とやってくる。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。