東京都が一千億円を出資し設立したものの、経営不振の出口が全く見えない新銀行東京。四月八日の選挙で石原都知事の三選が決まった矢先、新銀行東京と東京都が手を組んだ事業「NPO法人向け保証付融資制度」が、注目を集めている。 都は「NPO(民間非営利団体)は、保健、医療、福祉などの分野で活躍するとともに、新たな経済主体としても期待されているが、その多くは財政基盤が脆弱で活動資金の調達が困難なため、融資を普及促進するために同制度を作った」という。そして、NPO法人に対する融資を行ないやすくするために保証機関を作って都が認定し、民間金融機関からNPOへの融資(一件あたり一千万円が上限)を保証させる。 保証機関は新銀行東京。NPOから保証料の支払いを受け、融資額の八割を保証する。都は保証料の一部(「保証料率二%」または「保証料の二分の一」の少ない方)を補助する。NPOの負担は軽くなるが、都が出す“補助金”は保証機関に支払われるため、官業銀行の新銀行東京の“収入”になる仕組みだ。 そもそも、「NPOを装った暴力団のフロント企業なども少なくなく、民間金融機関は手を出そうとしない。都は保証機関を募ったが、新銀行東京しか手を挙げなかった」(大手行幹部)。にもかかわらず、都が原則として無担保で融資を推進するのは不可解で、「そもそも新銀行東京設立の目的だった中小企業への融資がストップしており、その代わりなのだろうが、お手盛り以外の何ものでもない」(同)との批判が出ている。

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