巨人・ヤマダ電機が大都市を“侵略”し、業界再編は最終段階に入った。しかし勝者にも、ビジネスモデルの限界が襲いかかる。 今年七月、東京を舞台に家電量販業界の覇権をかけた「最終戦争」の火蓋が切られる。業界首位のヤマダ電機が六位のビックカメラの本拠地である池袋に進出するのだ。しかも、ヤマダの新店はビックカメラ池袋本店から一軒おいた隣、ビックパソコン館池袋本店とは通りを挟んで向かい合う。業界二位のエディオンとの経営統合を拒み退路を断ったビックカメラが三倍近い売上高を誇るヤマダとどう渡り合うのか、関係者は直接対決の行方に固唾をのむ。 この「池袋夏の陣」が注目を集めるのは、郊外型出店で全国展開してきたヤマダが本格的に大都市へと切り込んできたからだ。昨年の大阪・難波、今年の仙台、池袋に続き、来年は東京・渋谷への進出を控える。 業界で唯一、全国四十七都道府県への出店を終えたヤマダにとって、郊外への出店余地は小さい。そこで目をつけたのが大都市の駅前だ。これまで家電量販業界はヤマダやコジマなどの「郊外型」と、ヨドバシカメラやビックカメラなど「大都市駅前型」の棲み分けが成立していたが、ヤマダの侵攻で関係は崩れ、業界再編の最終段階に入ろうとしている。

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