抜けるような青空ばかりを毎日見続けると、曇りや雨の日が恋しくなる。「美しい」四季を知る日本人にとって、一年中夏日の南太平洋は決して楽園ではない。しかも、国際的に高い評価を得ているホテルやレストランが驚くほど少ないので、ハワイのような国際水準のリゾートを夢見て行くと、がっかりすること請け合いだ。やや洗練されたリゾートタウンといえば、「天国に一番近い島」と形容された仏領ニューカレドニア島の都、ヌーメアぐらいだろうか。孤島のリゾート感覚を楽しむのであればタヒチやサモアもあるが、とにかく日本から遠い。十九世紀末、画家ゴーギャンがパリの喧騒から逃れてやってきた島が仏領タヒチであった。 太平洋の島々と一口にいっても、実にさまざまだ。広大な太平洋には三つのネシア(島々)が点在するが、国際日付変更線を縦軸に、赤道を横軸に線引きすると、次のようになる。北西海域がミクロネシア(小さな島々)、南西がメラネシア(黒い島々)、そして北東と南東がポリネシア(たくさんの島々)だ。 十九世紀から二十世紀の「帝国主義の時代」、太平洋の島々は、英国、米国、ドイツ、フランス、日本などによる植民地競争の舞台となった。グアムやサイパンに代表されるミクロネシア圏は米国と日本の植民地に。パプアニューギニア、ソロモン諸島、フィジーを抱えるメラネシア圏は英国やオーストラリアが領有化。外国人観光客が「南太平洋」をイメージするタヒチ、トンガ、サモアなどのポリネシア圏は米国、ドイツ、フランスの支配下となった。

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