「新手の仕手筋か、それとも乗っ取り屋か」と兜町で注目されているのがワシントン・グループの河野博晶氏(六四)。昨今は投資ファンドが大量に株を買い占めて増配を要求したり、TOB(株式公開買い付け)を仕掛けたりするのが盛んだが、そんな派手な騒ぎの陰で、ジャスダック市場のA.Cホールディングス(旧南野建設)株を大量に買い占め、実質的なオーナーに納まる一方、毛編み機メーカーのシルバー精工(東証一部)にも触手を伸ばしている。「証券界ではハコ物と呼んでいますが、上場企業の中には最早、本業と呼べる事業がほとんどなくなり、株価は額面程度の数十円に低迷、上場されていることだけに価値があるような企業が十数社もあります。そういう企業に金融ブローカーや仕手筋が近づき、第三者割当増資を勧める。会社側は債務超過を回避できるうえ、増資資金で新事業に取り組めると飛びつく。増資を引き受けるのは得体の知れないファンドで、一時的に株価が上がったところで売却して儲ける、という手口が横行しています。A.Cホールディングスはそういうハコ物の一社で、本業は下水道工事なのにIT事業を始めるという触れ込みで第三者割当増資を繰り返していた」(中堅証券投資情報部長)

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