世界最大の投資ファンドを動かすブラックストーンが上場に踏み切り、中国政府が出資を決めた。マネーフローが激変するかもしれない。 米ニューヨーク市を南北に走るパークアベニューは、米国人なら誰もが憧れる高級住宅・商業街だ。通りに面した会員制クラブのアジア・ソサイエティで、五月七日、米通商代表部(USTR)代表や国務副長官を務めたロバート・ゼーリック氏を招聘してパネル講演会が開催された。テーマは「アジア経済の新秩序」。 だが、講演会に参加したニューヨークっ子たちのお目当ては、一カ月後に世界銀行総裁に指名されることになる“主賓”のゼーリック氏とは別の人物だった。司会役に名乗り出た米最大手の投資ファンド、ブラックストーン・グループのスティーブ・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)である。 一見すると、目つきの鋭いキューピー人形といった風情。だが、やり手だ。二十二年前に、米投資銀行家ピーター・ピーターソン氏とともに当時としては珍しかった投資ファンドのブラックストーンを創業した。今や、その運用資金は八百八十四億ドル(約十兆七千億円)。米テキサス・パシフィック・グループ(TPG)、米カーライル・グループ、欧州のペルミラなどと並んで世界最大規模となっている。

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