“水際検査”だけでは食品の安全は守れない

執筆者:高橋梯二2007年8月号

次々と明らかになる中国食品の驚くべき実態。食料の六〇%を輸入に頼る日本が食品の安全を確保していくには、発想を変える必要がある。 いま、世界各地で中国産の食品・医薬品から生命にかかわる有害物質が検出され、不安が急速に広がっている。 発端となったのは、今年三月、北米で猫や犬が大量に不審死した事件だ。米食品医薬品局(FDA)による検査の結果、ペットフード原料の中国産小麦グルテンに、メラミンが混入していたことが判明。しかも、ペットフードの一部は養豚場、養鶏場に流れ、それを食べた豚や鶏が食肉として流通していた。 五月には、米ニューヨーク・タイムズ紙が、中米パナマで中国製ジエチレングリコールが混入した咳止め薬を飲んだ百人以上が死亡したと報道。ジエチレングリコールは中国産練り歯磨きからも検出され、米国や中米諸国、オーストラリア、シンガポールで回収騒ぎとなった。 六月末には、米国で中国産のエビ、ウナギ、ナマズ、ウグイ、バサ(ナマズの一種)の五品目の魚介類からニトロフラン、マカライトグリーンなどの抗菌剤が見つかり、輸入を一時停止する措置がとられている。 もちろん日本も例外ではない。ジエチレングリコール入りの中国産練り歯磨きは日本にも輸入されていたし、中国製の土鍋やおもちゃからは鉛が検出された。

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