「去年までは五、六割が相場と言われたが、ここまで下がるとは……」  ある大手消費者金融会社の幹部は言葉を詰まらせた。  昨年末に成立した改正貸金業法で上限金利の引き下げ(二九・二%→最高二〇%)が決まったことなどの影響を受け、消費者金融業界では自主廃業や身売りを余儀なくされる中小規模の業者を中心に債権の売却が急ピッチで進んでいる。金融庁が今年六月までに行なったヒアリングによると、現在、彼らの債権は正常・事故(延滞)債権を合わせたバルクセール(一括売却)で、額面の二―三割で取引されているという。  売却先として目立ってきているのは外資系金融機関だ。一九九〇年代以降、銀行の不良債権を買い叩き、容赦ない法的整理などで収益を上げた「ハゲタカ」が、今度はサラ金に群がりつつある。  業界にとって法改正以上に痛手なのが、利息返還請求の増加だ。金融庁が自民党に示した資料によると、これまで「グレーゾーン」として黙認されてきた金利の払い戻し額は、大手二十七社で五千三百三十億円(二〇〇六年度)。この数字は返還額(二千六百四億円)となお残る債務との相殺による元本減少額を合わせたものだが、前年度の実に二・四倍に上る。いまや過疎地では「主要産業は利息返還請求」という冗談まで口にされるほどだ。

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