「このメールを捨てたら後できっと後悔する」 約四年前に届いた一通のメール。一読した瞬間、キャシー・松井さんはそう直感した。それは、アジア女子大学(AUW)設立プロジェクトの概要を示し、彼女に日本での資金集めを依頼するものだった。多忙な仕事柄、その類のメールすべてに応えていては身が持たない。それでも、どうにか時間を捻出して活動に携わろうと決めた。 AUWプロジェクトは、南アジア・東南アジアで未だ高等教育の機会に恵まれない女性のために大学を設立しようと、二〇〇一年にバングラデシュ出身のカマル・アハマド氏を中心にアメリカで立案された。前述のメールの送り主であり、米ハーバード大学出身で松井さんの後輩に当たる。アジアの先進国である日本の参加が不可欠だとする彼の考えに松井さんが共鳴し、日本での活動が始まった。 アジアでは、欧米先進国に比べ女性の社会進出が遅れがちだ。AUW設立により、世界各国から優秀な教授を集め、レベルの高い教育を提供し、他国の高等教育を受けている女性と平等の機会を与えようという狙いだ。現在、アハマド氏を中心に、大学教授や民間企業の重役などの協力を得てプロジェクトは〇九年の開校に向け進んでいる。

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