固まった中国党大会「五退三進」の人事

執筆者:藤田洋毅2007年8月号

ついに実質ナンバー2の曾慶紅を引退に追い込んで、胡は基盤をさらに強化しようとしているが……。「またぞろ雷声大、雨点小か……周囲にもそう漏らす幹部が少なくないですね」。中国国務院の中堅幹部がこぼした。雷の音は大きいのに雨粒は小さい、すなわち大きな掛け声の割には成果に乏しい施策が相次ぐからだ。政権の屋台骨を揺るがしかねない幹部の腐敗と浪費という二つの「標的」に対し、胡錦濤政権は「最後通牒」を発したが、政権内部ですら「雷声大、雨点小」との声が多い。 標的の一つは、浪費の象徴とされる豪華な政府関連ビルだ。四月の「党・政府機関の事務棟など楼堂館所建設の問題をさらに厳しく制限する通知」に続き、五月末には党・国務院の七機関が、規定を無視した政府庁舎など豪華ビルを「徹底的に整理する通知」を発した。中央だけでなく、地方の末端の郷鎮レベルまであらゆる公機関や関連施設を対象とする。 六月一日に合同会見した七機関は、河南省濮陽県政府の事務棟や幹部宿舎、山西省政府糧食局の訓練センターなど四件の違反ビルを名指しで批判、関係幹部を処罰したと発表した。いずれも目をむくほど壮大で豪華なビルばかり。しかも多くは、国家や省から財政援助を仰ぐ貧困地区にそびえたつのだ。

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