参院選前に突如明らかになった不祥事の数々。それは公務員制度改革を何としても阻止したい官僚たちの意図的暴露だった――。 介護大手コムスンの不正、英会話大手NOVAの業務停止、そして消えた年金問題――。このところ世間を騒がす不祥事には奇妙な一致がある。いずれも国の役所が深く関与していること。本来なら情報隠蔽に躍起になるはずの役所周辺から、むしろ情報が流れていること。そして、いずれも安倍晋三内閣への攻撃材料になっていること、である。どうやら背景には、今やガチンコ勝負となった霞が関の官僚と首相官邸の「国のかたち」を巡る熾烈な闘いが潜んでいるようなのだ。「業務停止」連発も 厚生労働省は六月六日、訪問介護最大手コムスンの全国の事業所の指定更新と新規指定を認めないと発表した。その時点で全国に二千八十あまりの事業所を展開し、ヘルパーなど二万四千人の従業員を抱えていたコムスン。サービスを受ける顧客は六万五千人に及んでいたが、一年後には事業ができなくなるという極めて厳しい内容だった。 コムスンを傘下に持つグッドウィル・グループは同日、間髪を容れずに同じ傘下の介護施設運営会社、日本シルバーサービスにコムスンの全事業を譲渡すると発表した。だが世間の強い批判にさらされて譲渡案は雲散霧消。介護事業からの撤退に追い込まれた。「世の中をなめている」としか思えないグッドウィルの対応だが、同社がそんな「奇策」を発表したのは、厚労省による「暗黙の了解」があったためだ。少なくともコムスンの幹部はそう信じていた。

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