攻守交代の米露「新冷戦」

執筆者:名越健郎2007年8月号

 米露関係が「新冷戦」の様相を強めている。米国のミサイル防衛(MD)東欧配備計画に反発するロシアのプーチン大統領は、「第三帝国の時代と同様に人命軽視と世界制覇を狙っている」と米国をナチス・ドイツになぞらえて攻撃。ブッシュ大統領も「改革が脱線した」と民主化後退を非難した。 7月初め、ブッシュ大統領はメーン州にある父の別荘にプーチン大統領を招く特別待遇で衝突回避を図ったが、修復には程遠い情勢。米露対立の背後には、ロシアが難色を示すセルビアからのコソボ独立問題や、エネルギー問題、ロシアの大国化や選挙を控えた国内事情もある。対テロ戦で結束したころの「米露同盟」は過去の遺物だ。 民主化と市場経済を推進し、米露蜜月を演出したロシアのエリツィン前大統領が死去した。 すると、ロシア大統領府は米政府に弔電を送った。 問 ブッシュ大統領とプーチン大統領の違いは何か。 答 ブッシュ大統領は(イラク)戦争を始めるため、大統領になった。 プーチン大統領は大統領になるため、(チェチェン)戦争を始めた。 米露首脳会談で、プーチン大統領がMD問題を解決するため、アゼルバイジャンにあるレーダー施設の共同利用を提案した。

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