東欧への米国のミサイル防衛(MD)配備に猛反発するロシアが、日米が共同開発・配備を進めるMDについては沈黙。対応の違いが顕著になっている。 日米のMDは、今春、地上配備迎撃ミサイルが埼玉県の航空自衛隊入間基地に配備されるなど着々と進んでいるが、ロシア外務省高官は「北朝鮮のミサイルの脅威が現実にあり、防衛策を考えるのは当然のこと」と容認。露国防省筋は「システムの矛先が変わるなら対応を検討する」としながら、日露防衛交流を通じて協議したいとソフトだ。 チェコやポーランドへの配備計画には「新たな軍拡競争を招くだけだ」(プーチン大統領)と反発し、欧州に再び自国の中短距離ミサイルの照準を合わせると警告したのとは対照的だ。 日米関係筋は「日米のMDは、方角的にもロシアの米国向け弾道ミサイルを想定していない。既に決定がなされており、計画段階の東欧配備とは違う」と分析する。一方、容認は対日接近の布石とする見方も。日露貿易は昨年往復で約一兆六千億円と過去最高で、今年も更新は確実。二月のフラトコフ首相の来日など政治対話も拡大した。欧米との関係悪化で孤立するロシアが、対日アプローチを強めているとの見立てだ。ロシアは年内に東京で日露防衛トップ会談の開催を希望しているという。

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