日本航空(JAL)グループのノンバンクであるJALカードをめぐり、三菱UFJフィナンシャル・グループとみずほフィナンシャルグループが激しい争奪戦を演じている。 JALカードは会員数こそ約百八十万人にとどまるが、年間取扱高は約一兆四千億円でクレジットカード業界六位。出張や旅行で飛行機を多く利用するビジネスマンや富裕層など「優良顧客」が多いことで知られる。 だが、親会社のJALは経営危機を乗り切るため、関連会社の整理を加速。金融関連事業のJALカードも、内外の金融機関から株買い取りの打診が相次ぎ、近く入札との情報もある。 なかでも三菱UFJとみずほが熱心なのには、別の事情もある。ライバルの三井住友フィナンシャルグループが、ダイエー系列のOMCカードを傘下に収めたからだ。とくに三菱UFJは系列信販だったセントラルファイナンスも三井住友に奪われただけに必死。JALに対し追加融資への理解をちらつかせながら売却を促しているほか、対抗馬を減らすためか、幹部があちこちで「JALカードは絶対にうちが取る」と囁いているという。 一方のみずほも、業績が悪化した系列信販のオリココーポレーションの再建で手一杯だったが、幹部は「三井住友や三菱UFJの動きに、経営陣も焦り始めた模様」と内部事情を明かす。貸金業規制の強化で厳しさを増すカード業界だが、銀行主導の再編で勢力図が塗り変わりつつあるだけに、メガバンク同士の激突の行方が注目される。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。