「続投」こそ「政治空白」

執筆者:2007年9月号

「よくあるパターンだね。社長を守ろうとして結局、会社をつぶしてしまう話」と数少ない知り合いの国会議員に言ったら「うまいこというね。それ使わせてもらおう」と妙に感心された。安倍首相の「続投」のことである。「全部、牛肉」と嘘をついてついに嘘がばれ、会社存続が不可能になった北海道の会社。わが首相は選挙で負けた原因は、年金記録、閣僚の失言、それに地方の不満だとのたまった。つまり悪いのは社会保険庁と松岡利勝元農水相、久間章生前防衛相、それに赤城徳彦前農水相らのふとどきな閣僚たち、地方の不満は小泉政治のひずみに対する怒り、と言っているのである。 ほとんど挫折を知らないように見える首相は、そののっぺりとした表情で「ボクちゃんのせいじゃないもん」と言っているのだ。だから、「進退を含め、いろいろとご批判があります。しかし、改革への流れをここで止めるわけにはいきません」とか「改革の方向性が、今回の結果によって否定されたとは思えない」とメルマガで強調してしまうのだ。おまけに「政治の空白をつくることは許されません」「今後とも新たな国づくりを進めていくことが、私の使命」と自分にはいささかの落ち度もないという態度に終始している。

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