「おもちゃ戦線異状」と表現する人もいる。「トイザらス」の苦戦が続いているのである。今年一月期決算が赤字だったのに続いて、二―四月の第1四半期も売上高こそ前年同期比で二十七億円増だったが、営業損益では十八億円の赤字。一人当たりの客単価が微増したことで「復調の兆し」と伝える向きもあるが、実際にはチャイルドシートや五月人形、テレビゲーム機などの高額商品が伸びただけに過ぎなかった。むしろ、客数は微減している。 トイザらスは十六年前、日米貿易摩擦の真っ最中にアメリカから日本に進出。茨城県阿見町の一号店に続いて開店した奈良・橿原店のオープンセレモニーに当時のジョージ・ブッシュ大統領(現大統領の父)が駆けつけたという鳴り物入りの進出だった。実際、メーカーから直接仕入れるアメリカ流の仕組みによる安さで、瞬く間に全国を席捲。玩具販売業界で四百五十店を展開していたハローマックを押し退け、名古屋を中心にした玩具チェーン、バンバンを壊滅させた。ある大手スーパーのトップが「ユニクロにカジュアル衣料の客を奪われ、西松屋に子供服を取られ、トイザらスに玩具の客を奪われた」と慨嘆したほどだ。当然、トイザらスは「外資の日本進出の模範」と賛辞を贈られている。

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