戦費と化すチョコレートの真実

執筆者:マリア・ロペス2007年9月号

[ロンドン発]西アフリカのコートジボワールには、「チョコレートの闇」が隠されている。チョコレートの原料であるカカオの全世界の供給量の四割がコートジボワール産であることを知っている人はいても、カカオがこの国の政治と紛争にどれほど深く関係しているかを知る人はほとんどいないだろう。 二〇〇二年秋から内戦状態だったコートジボワール(今年三月に停戦合意ができたが先行きは不透明)では、中央政府と北半分を支配する反政府勢力「新軍(FN)」が、それぞれカカオ輸出から得た資金を武器調達に充ててきた。カカオはコートジボワールにとって石油に次ぐ輸出品目で、年間輸出額は十四億ドル(総輸出額の三五%)。カカオの九割は政府が支配する南部で栽培されているが、残る一割は反政府勢力が支配する北部で栽培される。 去る六月、筆者が所属する英ロンドンのNGO(非政府組織)「グローバル・ウィットネス」は、「ホット・チョコレート――カカオがどれほどコートジボワールの紛争を悪化させているか」という報告書をまとめ、その中で、コートジボワール政府が巧妙な仕組みでカカオ輸出業者から資金を得て、反政府勢力との戦闘費用に充ててきたことを詳細な証拠とともに明らかにした。

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