イスラム原理主義の地で布教を競う韓国人たち

執筆者:竹田いさみ2007年9月号

 アフガニスタンには、日本人が想像するような「高速道路」はない。にもかかわらず一部のニュース報道では、英語の「ハイウェイ」を「高速道路」と翻訳していた。 以前、本欄で言及したように、途上国で見かけるハイウェイとは通常、舗装された幹線道路のこと。「高速道路」の表記には、いつもながら違和感がある。 その「アフガニスタンの高速道路」で、七月中旬、韓国の医療ボランティアが拉致・誘拐された。韓国のキリスト教系NGO(非政府組織)メンバーの男女二十三人は、首都カブールと南部の拠点都市カンダハルを結ぶ幹線道路を大型バスで通過中、反政府勢力タリバンに包囲、拉致された。 日本外務省はカブールを含むアフガニスタン全土を「渡航の延期」に指定し、「退避を勧告」している。しかもカブールから南はアフガニスタンで最も危険な地域で、米軍はもちろんのこと、NATO(北大西洋条約機構)を主体とした国際治安支援部隊(ISAF)が重点警備地域に指定しているほどだ。 アフガニスタンには韓国軍二百人も派遣されているが、カブールの北六十キロにある安全なバグラム空軍基地に駐留しているし、医療などの人道支援活動、テコンドーやハングル教室の開催なども、北東部の比較的平和な地域で行なっている。

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