サブプライム危機はたんなるバブルや金融技術の問題として片付けられるものではない。その先に見えるのは新興国との逆転現象、日米欧が世界経済を取り仕切れた時代の終焉だ。 グローバル化し、平板(フラット)になったはずの世界が、二つのMに揺れている。米国の住宅ローン(モーゲージ・ローン)と中国製品(メイド・イン・チャイナ)だ。モノとサービス、カネが国境と市場を跨いで行き来する。そんなグローバル化した世界は、いま大きな試練を迎えつつある。 信用度の低い個人向け住宅融資であるサブプライムローン問題が、連日メディアを賑わせている。ローンが住宅抵当証券(RMBS)などの形で証券化され、その証券を束ねて債務担保証券(CDO)などの複雑な金融商品が作られる。それらの金融商品を運用するために、特別投資会社(SIV)が組成され、そのSIVが短期の資金を集めるために資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)を発行している。 屋上屋を架すようなそれらの金融商品を、年金基金からヘッジファンドに至るまで様々な投資家が買っていた。投資家は米国内に限らず、欧州から中国などアジアまで世界中に広がる。かくして米国の住宅市場で起きた焦げ付きの問題は、パリ、フランクフルトから香港、上海と全世界に伝播した。日本も例外ではない。証券化商品への投資で損失を被ったファンドがその穴を埋めるために日本株を換金売りに出ている。日本の株式市場は売買高の約六割が外国人投資家とあって、彼らが売りに転じると株価はいっぺんに下落する。

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