中国のナンバー2 引退がついに「内定」

執筆者:藤田洋毅2007年10月号

 先々月、先月の本誌で報じてきた中国の最高指導部人事に、さらに進展があった。共産党政治局常務委員会のメンバーは、十月に開かれる第十七回党大会を機に入れ替わるが、これまでの「五退三進」、すなわち「五人引退、三人昇格」の流れが、「六退四進」に加速したのだ。「五人目は誰か」をめぐり、最大の焦点は、公式序列五位ながら実質ナンバー2の曾慶紅・国家副主席の去就だった。夏前までに引退が「内々定した」とされていたが、八月上旬に河北省北戴河で開かれた政治局ポン頭会議や長老らも出席する民主生活会などを通じ、「曾の引退が内定した」と関係筋は明言した。今年になって発覚した山東省の電力会社の株式取引に関わった一人息子、曾偉のスキャンダルがトドメを刺したという。 もっとも、上海閥と太子党(高官子弟グループ)双方の代表を兼ね、組織部門担当として人事を牛耳ってきた曾慶紅だけに、北京では党大会一カ月前となったいまでも、引き続き政権の要の座を維持するとの見方が大勢を占める。最後の巻き返しを図っているという情報もあり、どんでん返しもあり得る。 もう一人、新たに引退が内定したのは、宣伝担当として強権的手法でトラブルばかり引き起こしてきた李長春(序列八位)。これで「六退」となった。

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