二〇〇〇年の創立以来初の最終赤字に転落した新生銀行をめぐり、三井住友銀行が買収も視野に包括提携に乗り出すとの観測が金融界で流れている。 新生銀行は、一時国有化された旧日本長期信用銀行が前身で、米投資ファンドのリップルウッド・ホールディングス(現RHJインターナショナル)傘下で再建。ATM手数料の無料化やユニークな金融商品で若年層などの支持を集め、順調に口座を増やしてきた。 だが、不良債権処理を終えた大手銀行との競合が激化し、右肩上がりだった業績も急減速。追い打ちをかけるように、信販子会社のアプラスが貸金業の規制強化で経営悪化している。 そこに目を付けたのが、三大メガバンクでも「末席」に甘んじている三井住友だ。米ゴールドマン・サックスと資本提携するなど、もともと「外資アレルギーが少ない」(幹部)行風のうえ、新生銀行を吸収できれば、みずほ銀行などに比べて見劣りする店舗網も強化できる。 三大バンクのなかでも最もノンバンク戦略に力を入れる三井住友にとって、アプラスを引き込める魅力も大きい。消費者金融のプロミス、三菱UFJグループから奪い取った信販のセントラルファイナンス、筆頭株主に先般躍り出たオーエムシーカードだけでは物足りないとばかり、奥正之頭取は「取れるものならどんどん攻めろ」と行内にハッパを掛けているという。

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