「小池百合子」という生き方

執筆者:2007年10月号

 参院選自民党惨敗―安倍晋三首相続投の凡庸な大衆演劇にはうんざりしたが、その中で一人、端倪すべからざる政治家をみつけた。その名は「小池百合子」。将来の首相候補などという週刊誌の見出しに、まさか、と思ってきたが、このごろ、ひょっとしたら、と妙に現実感を感じるようになった。 驚くのは何の後ろ盾もなくここまで「女一匹」度胸と愛嬌だけで這い上がってきたことである。捨て身になって勝負をかける度胸のよさと勝負勘は他の政治家の追随をゆるさない。自民党に入党してからまだ五年たっていないのである。それなのにもう首相候補の一角に名を連ねる。入党九カ月で小泉内閣の環境相のポストを手にした。まだ森派(現町村派)に入ったばかりだったが、組閣の日、認証式用に新調したドレスを持参していた。 殿様こと細川護熙氏のそばでほほえんでいる「日本新党 参院比例区候補者 小池百合子」の姿をなぜかいまも覚えている。直前までテレビのニュース番組の人気キャスターだった。当選はするだろうが、選挙が終わればだれも記憶していない、普通のタレント政治家ぐらいにしか世間は見ていなかった。それがどうだろう。細川氏の次は新進党小沢一郎氏、自民党小泉純一郎氏、安倍晋三氏と次々に政界のトップリーダーに食い込んでいった。

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