ブッシュ政権の「設計士」カール・ローブが待つ次の出番

執筆者:ウェイン・スレーター2007年10月号

[ダラス発]カール・ローブ米大統領次席補佐官(五六)の八月末の辞任は、ブッシュ政権の事実上の終焉を意味する。大統領の任期は一年以上残っているが、もはやこの先、新たな構想が打ち上げられることもなければ、民主党が支配する議会との難しい交渉の末に大きなプロジェクトが立ち上げられることもないだろう。 そして、ローブの退場にはもう一つの意味もある。共和党の永続的支配という長年の彼の野望が頓挫したということだ。「カールの活動は続くだろうが、マッキンリー大統領が一八九〇年代に築いたような共和党王国を再現するという彼の夢は遠のいた」と分析するのは、レーガンやクリントンを含む四人の大統領に顧問として仕えた経験をもつデイビッド・ガーゲンだ。だが、「ブッシュの頭脳」とも「(ブッシュ再選の)設計士」とも呼ばれた策士が、この先も何らかの形で米政界に影響力を及ぼし続けることは間違いない。 現に、ローブの関心は早くも来年の大統領選挙に向けられている。保守系のラジオ番組に出演し、ヒラリー・クリントン上院議員を指して、「おそらく彼女が民主党の大統領候補に指名されると思う」とした上で、彼女には「致命的な欠陥がある」と攻撃した。前回大統領選で民主党のケリー候補を攻撃するのにベトナム帰還兵を使ったように、ローブは今後、おそらく第三者を装う組織を操って、彼女の資質に疑問を投げかけるだろう。クリントンは、戦時の最高司令官に相応しいのかと。

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