九月十四日、タイを訪問中のインドのプラナブ・ムカジー外相は、チュラロンコン大学で開かれた国際会議の席上、アメリカとイギリスの大使から、民主化デモを弾圧したミャンマーの軍事政権に対するインド政府の姿勢が甘いと難詰された。これに対しムカジー外相は、「他国の内政には干渉しないのがインド外交の原則」と反論。 だが、ミャンマーの軍政に対してインドが強い態度に出られない理由は別にある。 第一に、増加しつづけるエネルギー需要を満たすため、インドはミャンマーの石油と天然ガスに目をつけている。 第二に、インドがミャンマーを強く非難すれば、ミャンマーはインドを敵視して、インド北東部でインド政府に対して反政府活動を行なう集団に武器を提供するような動きに出るかもしれない。当然ながら、インドはそうした事態を避けたい。 第三に、中国という要素もある。インドのある政治評論家が言う。「インドがミャンマー政府を批判すれば、ミャンマーはいっそう中国寄りになり、中国から武器を得てさらに民衆を弾圧する恐れがある」。 第四に、インドにとって最悪のシナリオは、ミャンマー軍政の締め付け強化により、大勢の難民がインドに流れ込んでくることだ。こうした懸念がインドの言動を制約している。

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