日立製作所のHDD(ハードディスクドライブ)事業は庄山悦彦会長が社長時代に二千億円を投じて米IBMから買収した「日立復活の目玉」。だが、ふたを開けてみれば四期連続の赤字で、今や最大のお荷物となっている。HDD事業を手掛ける子会社の日立グローバルストレージテクノロジー(HGST)について、外資ファンドを念頭に日立が売却を検討し始めたと報じられたが、これとは別に、買収に意欲を見せていると言われるのが日本電産だ。 積極的なM&A(合併・買収)で知られる日本電産はHDD用モーターで七割強の世界シェアを占めるが、より収益性を高めるために「HDDの完成品まで一貫して手掛けることで事業拡大を狙っている」(大手証券幹部)という。先に日立系小型モーターメーカーの日本サーボを買収し、「日立とは親戚になったことだからこれからは日立向けにHDD用モーターを先行開発し優先供給していく」(永守重信・日本電産社長)というが、モーターにとどまらない可能性も。HDDの一貫生産を目指し、すでにシンガポールの部品メーカーを買収するなど布石を打っており、「日立が日本電産に安くHGST株を売却し、日本電産からHDDを安価で日立製品用に供給する関係を作れば、両社にとってメリット」(日立関係者)との声もある。

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