南アフリカ共和国で、検察と警察の泥沼の暗闘が続いている。検察は、セレビ警察長官が組織犯罪に関与した疑いがあるとして捜査の開始を宣言。一方の警察は、「スコーピオン(蠍)」の名で知られる特捜検察のエースのネル検事を汚職の疑いで捜査している。地元メディアは双方のリークに基づく特ダネ合戦を展開しているが、両者とも自らにかけられた嫌疑についての説明はゼロ。治安の元締め同士の泥仕合に、世界最悪水準の治安の下で暮らす国民はうんざりしている。 泥仕合の発端は九月二十四日、ムベキ大統領が突然、ピコロ検事総長の職務を停止したこと。二十七日には南アSABC放送が「検察が警察長官の逮捕状を請求し、交付された」とスッパ抜き、「大統領がセレビ長官を守るために検事総長の職務を停止した」との見方が広がった。セレビ長官は、南アの財界人を殺害したとして逮捕された男や麻薬組織から金を受け取っていた疑いが持たれている。 だが、セレビ長官は報道の三日後、地元紙に「逮捕状など存在しない」と明言。長官の上司であるヌカクラ治安・保安相も逮捕状の存在を否定して長官の擁護を試みたが、それでも検察の高官がラジオ番組で「逮捕状は存在し、我々はセレビ長官を捜査している」とやり返し、警察側が窮地に立たされたかに見えた。

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