大手三社が寡占する携帯電話業界に風穴をあけようと総務省は躍起に。利用者には歓迎すべきことだが――。 転換期にさしかかった日本の携帯電話業界の針路を変えようと、総務省が矢継ぎ早に施策を打ち出している。大手三社が寡占する国内市場は産業の牽引役にまで急成長したが、方向性やスピードが世界市場とは大きくズレており、袋小路に入りつつあるためだ。いま、総務省が講じる施策の多くは、現状のビジネスモデルを否定するもので、業界には抵抗も少なくない。総務省は、「最終的には国益に寄与する」と自信満々だが、携帯事業者のみならず、既存関連業界や消費者に受け入れられ、さらに産業の裾野を広げることができるだろうか。 NTTドコモが「現段階で考え得る、最高の技術を盛り込んだ」と自信を持って投入する冬春モデル「905i」は、欧州やアジアで主流の通信方式であるGSMにも対応して海外でも通話やメールをそのまま利用できるほか、世界最速のデータ受信速度を実現する通信規格・HSDPA、ワンセグ、五百万画素のデジカメ、GPS(人工衛星の発する電波を利用して自分の正確な居場所を割り出すシステム)、緊急地震速報受信機能に加え、日英の音声翻訳機能まで詰め込んだ。

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