韓国 超学歴社会が生む早期留学

執筆者:平井久志2007年12月号

 年末に大統領選挙を控える韓国で今年七月ごろからメディアを騒がせてきたトップニュースは、東国大の申貞娥元助教授の学歴詐称事件だった。米エール大学での博士学位取得が虚偽だったことが判明しただけでなく、女性の申元助教授と卞良均青瓦台(大統領官邸)政策室長の「不適切な関係」が暴露され、政権スキャンダルにまで発展した。 この事件をきっかけに韓国の各界で学歴問題が浮上し、有名人たちの学歴詐称が次々に暴露されるという事態になった。大学教授やテレビ番組の司会を務める人気芸能人らの学歴詐称が明らかになり、演劇界のトップ女優、尹石花さんもホームページで名門の梨花女子大に入学したという経歴は嘘だったと明かし「三十年間、良心の呵責に苦しんだ」と告白した。 韓国社会は日本以上に激烈な競争社会であり、他人との「差別化」のために学歴が尊重されている社会でもある。むしろ学歴差別を当然視する一方で、いかに貧しい家庭に育っても有名大学さえ卒業できれば上層階層に入ることができた。「学歴」はそのために欠かすことのできない階段でもあった。 教育指標の国際比較をまとめた日本の文部科学省によれば、〇四年の韓国の現役大学進学率は九割に迫る。五割そこそこの日本を大きく上回っているだけでなく世界のトップレベルだ。この統計は短大なども含んでいるが、韓国はすでに「大学全入時代」になっていると言ってよい。これが逆に「大学へ行かなければ脱落する」との社会的な雰囲気をつくり出している。

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