シンガポールやブラジルに始まった排出権ビジネスの「新たな局面」とは――。日本が急ぐべきは、「流通」を意識した制度整備だ。[シンガポール発]「クリーン技術の開発や排出権で“アジアの極”となる」 十一月六日、アジア最大の排出権見本市「カーボン・フォーラム・アジア」の開会式。欧州やアジア諸国から参加した二千人の環境ビジネス関係者を前に、主催国シンガポールのイブラヒム環境・水資源大臣は高らかに宣言した。 この見本市はドイツのケルンで恒例となった“本家”見本市のアジア版で、初開催だった昨年の北京に続き二回目。だが今回の「第二回開催」に至るまでには、熾烈な誘致合戦が行なわれていた。定期的な開催を求める中国と、同じく排出権市場をリードするインド。アジアの二大国が手を挙げるなか、なぜ軍配がシンガポールに上がったのか。「産地」から「取引所」の時代に そもそも排出権とは、二酸化炭素(CO2)やメタン、フロンなど温室効果ガスの削減量によって決まる。大づかみに説明すれば、工場の熱利用の管理や大規模な省エネなど、CO2削減に寄与する新事業を興した上で、国連がその「温室効果ガス削減効果」にお墨付きを与えたものが、排出権となる。

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