中東の未来を分けるアナポリス和平国際会議

執筆者:ガーション・バスキン2007年12月号

かすかな希望の光が灯ったかに見えるイスラエルとパレスチナの関係。さらに前進させるための会議は、しかし、まだ日程すら固まらず……。[エルサレム発]イスラエルのエフード・オルメルトが首相の座について一年半、マフムード・アッバスがパレスチナ自治政府大統領にあたる議長に就任してから二年十カ月。その二人が、危険の潜むリスキーな旅に出ようとしている。目的地は、米海軍兵学校があることで知られるメリーランドの州都アナポリス――。 旅の発案者はジョージ・ブッシュ米大統領だ。七月十六日にホワイトハウスで行なった演説で、「この秋、『(イスラエルとパレスチナの)二国家共存』に賛同する各国代表を招いて中東和平国際会議を開催する……これは、パレスチナ国家樹立に向けた動きを促進するために、当事者同士の議論や交渉を外交的にサポートするものになる」と提案したのだ。 ブッシュが国際会議を呼びかけたのは、六月半ば、イスラム原理主義組織ハマスがパレスチナのガザ地区を制圧し、穏健派のファタハが支配するヨルダン川西岸地区との間でパレスチナが分裂状態になった後、ファタハとイスラエルの間で秘密交渉が始まったのを承知していたからだ。分裂後、アッバスは元世界銀行職員の実務家サラム・ファイヤドを新首相に指名した。党派色の薄い官僚や専門家で構成された新内閣はすぐさま経済改革や自治政府組織の改革に着手し、ファイヤド首相は組織ばかりが膨張して機能不全に陥っていた治安組織の改革にも乗り出した。

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