2008年の日本と世界

執筆者:伊奈久喜2008年1月号

無慮二百の国々が協力しあい、せめぎあう世界。力関係は「絶対値」では決まらない。相対的な「自信度」こそが国際関係を左右するとすれば、2008年はどんな年になるのか。 理論化も数量化も不十分だが、世界を構成する諸国の「自信度」の相互作用こそが国際関係であるとする仮説を立てる。それを分析用具にして二〇〇八年の世界を考える。 自信度は次の三つの要素で計算する。すなわち、(1)経済力、軍事力、政治力、それに文化力などを加えた総合国力の規模 (2)総合国力の規模の変化が上向きか、下向きか、それぞれの場合の角度はどうかのベクトル (3)国際規模の好感度調査や国連での投票行動などから判断される、仲間になっている国の数とその増減状況――である。 自国の国力に対する誤解である「空威張り」も各国の行動に影響を与える。したがってこれも自信度に含めるために、三要素のそれぞれを指数化し、合計を加重平均ではなく、あえて単純平均した値を自信度とする。三つの要素を同じ重さで考えれば、(1)の総合国力の規模の意味が相対化されるからだ。 国際通貨基金(IMF)のホームページにデータマッパーというコーナーがあり、各国が成長率別に色分けされた世界地図があらわれる。途上国の成長率の高さ、先進国のそれの低さが視覚的にわかる。

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