防衛専門商社「山田洋行」からの収賄容疑で逮捕された守屋武昌・防衛省前事務次官が、部下だった河村延樹・前防衛政策課長に投資目的で渡した四千五百万円の行方が謎を呼んでいる。 防衛省に二人が説明したカネの流れは以下のようだ。「いいもうけ話がありますよ」との河村氏の誘いで、守屋容疑者は一九九七年六月と七月、合計四千五百万円を河村氏に預けた。すぐに投資に失敗し、その年のうちに河村氏は三千万円返済し、残り千五百万円は少しずつ返し、二〇〇二年に千百万円を返して完済したという。 奇妙なのは河村氏が頑として投資先を明かさないこと。「親の会社の元従業員に預けた」とまではいうが、投資先は「覚えていない」の一点張り。常識では投資先を聞かずに四千五百万円もの大金を預けることなどあり得ない。 あっという間に消えたとすれば、考えられるのは先物取引だ。大豆などの食品ならともかく、原油となると話は違ってくる。産地の中東情勢は米国からの情報提供によって防衛省はかなり正確に分かる。仮に原油の先物買いに充てていれば、職務上得られる情報を私利私欲のために利用したことになる。 省内には「実は守屋容疑者は河村にカネを預けてなどいない。返済金の名目で山田洋行からの賄賂を迂回して受け取っていたのではないか」との見方もある。守屋容疑者は同じ九七年に東京・神楽坂の自宅を購入した際、三千五百万円の借金をしている。四千五百万円があれば、借金するはずがない。

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