アブダビ投資庁から出資を得たものの、サブプライムの濁流は衰えをみせない。次は日本市場に注目しているというが――。 市場用語に「消化難」という言葉がある。飛び込んできた大ニュースが「売り」「買い」どちらの材料か判断しかねる様子を指すものだ。アラブ首長国連邦(UAE)の政府資金を運用するアブダビ投資庁(ADIA)による米シティグループへの七十五億ドルの出資(取得後の持ち株比率は最大四・九%)が明らかになった十一月二十七日、日本の株式市場は消化難そのものだった。日経平均は終値こそ上昇したが、増資発表後に一時値下がりに振れるなど投資家の困惑ぶりが如実に表れた。 米国のサブプライム問題は、今や株式や為替など金融市場共通の取引材料。中でも、これまでサブプライム関連商品に強いとされながら、その積極性ゆえに最大の損害を被ったシティグループの株価は、投資家にとって政府要人の動向や経済統計よりも重要な観察対象になっていた。ヤマ場は二月に サブプライム問題では、米金融機関の巨額損失が相次いで明るみに出た。メリルリンチが八十四億ドルの損失を計上。シティは九月までに六十五億ドル、十―十二月期に最大百十億ドルを追加処理する見込みだ。

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