非鉄金属のシンクタンク、日本メタル経済研究所事務局長の近藤敏が雑談で、「三菱商事の前期決算は、日本が非鉄金属資源を確保するための一つの方向性を示しているように思う」といった言葉が気になった。 三菱商事の前期(二〇〇七年三月期)連結決算は売上高、経常利益、当期利益がいずれも過去最高を記録。特に当期利益四一五九億円のうち、一八六八億円(四五%)を金属関連事業が稼ぎ出しているのは驚きだ。子会社を通じて株主となっているエスコンディーダ鉱山(チリ)の運営会社ミネラ・エスコンディーダからの配当が実に二六〇億円もある。前期に比べて一九三億円も増えた。それでもミネラへの三菱商事の出資比率は七%に過ぎない。 近藤は、「長期安定的な資源確保には、鉱山開発に投資するのが近道だ。日本の商社や非鉄金属メーカーは、一九八〇年代後半からの市況回復を背景に探鉱投資を本格化させ、資源確保と同時に配当も得られるようになった」と続けた。 BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の経済発展に伴う資源争奪戦が激しさを増し、しかも産出国が偏在する状況のなかで、戦略的な資源確保策の検証は非鉄のものづくりを追うなかで欠かせないテーマであることを実感させられた。

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