台湾二位の半導体メーカー、聯華電子の事実上の創業者である曹興誠・栄誉董事長(名誉会長)が、対中国政策をめぐり、独立志向を強める陳水扁総統(民進党)と激しく対立している。 直接のきっかけは意見広告。十一月中旬、曹氏は台湾主要紙で、「両岸和平共存法」という法律を定めるべきだと主張。二〇〇八年三月の総統選に出馬する謝長廷・元行政院長(首相)と馬英九・前国民党主席に宛てた意見書の形で、両岸(中台)関係を安定させる手法を提言した。 曹氏は、急進独立派が想定する将来の「台湾独立を問う」住民投票に対して、「日頃から『台湾は主権独立国家だ』と称する民進党の主張と矛盾するのでは」と疑義を呈す。代わりに、中国から台湾住民に迎合的な政策を引き出せるとして、「統一を問う」住民投票を繰り返し行なうべきだと提案する。 これに総統選候補者ではなく陳総統がかみついた。陳総統は広告掲載の翌々日、遊説先で曹氏の構想を「和平の名を借りて統一を促す台湾投降法だ」と約二十分にわたって批判した。 曹氏も負けずに、十二月上旬までにさらに二回の新聞広告を出し「陳さん(総統)が主張する(台湾共和国への国号変更など)法的独立を達成するには、大陸(中国)を戦争で打ち負かす必要がある。可能ですか?」と反駁した。

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