中国製品があふれているのはいずこも同じだが、イタリアではメイド・イン・イタリーの「顔」と言える名産品にまで中国製が侵食してきた。 イタリア農業者団体の一つコルディレッティが十一月に発表した数字によると、二〇〇七年の中国からのトマトピューレ輸入量は前年比二・六倍の十六万トンに上る見込みとなった。国内生産量の四分の一に当たる。 しかも現在、ピューレはドラム缶で運び込まれ、イタリアで瓶詰めしただけで「メイド・イン・イタリー」と銘打たれている。中には、パスタソースに加工され、イタリア産として輸出されるものもある。 農業生産者の粘り強い要求で、政府はこの一月から、ピューレの原産地表示を義務付けた。コルディレッティのマリーニ会長は「これで、マーケットから『危ない商品』を一掃できる」と喜ぶ。政府は、中国製トマト製品の食品検査を早急に行なうことも決めた。 ファッション産業の空洞化も進んでいる。 十二月二日、国営放送3チャンネルの報道番組「レポルト」は、グッチ、プラダなどスーパーブランドが、中国人やイタリア人らが経営する国内企業に、製造を下請け、孫請けに出している実態を報道し反響を呼んだ。 番組によると、ブランド企業は素材を零細企業に渡し、バッグ一つあたりの工賃を二十―三十ユーロ(一ユーロ=約百六十円)に抑え、数百ユーロで消費者に売っている。

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