日本を襲う「アザデガン油田」失敗のツケ

執筆者:中嶋猪久生2008年1月号

対イラン金融制裁が強化された。困るのは日本。事実上頓挫した油田開発への巨額の「前払融資」がコゲつく危機に晒されているのだ。 十月二十五日、米国は核開発をやめようとしないイランに対して三回目の制裁を発動した。対象は革命防衛隊を中心に、国営商業銀行三行(メリ、サデラト、メラート)、国防軍需省など二十を超える組織や個人。革命防衛隊は、十二万人余の兵力を有する「指導部の親衛隊」であると同時に、建設会社などを傘下に収め石油・ガス開発にも進出するイラン最大の「巨大企業グループ」で、総資産は数百億ドルといわれる。これらが大量破壊兵器の拡散やテロ支援に関わったとして、米国内の資産凍結、米国の企業・個人との取引禁止などの措置がとられた。 すでに在米金融機関との取引を停止させられていたサデラト銀行やセパ銀行(国営)が革命防衛隊がらみで改めて制裁対象となったのに加え、国営商業銀行トップのメリ銀行も新たに制裁対象となった。 三回目の制裁内容は一九八〇年に米国がイランと断交して以来の厳しいもので、日本にもこれまで以上に大きな影響を与える予兆が出てきた。そのすべてはイラン西部のアザデガン油田に端を発している。締め上げられるイラン

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