「陳政権へのノー」という民意が示された立法院選。勝った国民党、敗れた民進党は三月二十二日の総統選で再激突する。[台北発]台湾で政治に関心がある人々の誰もが今年は「大きな節目になる」と感じている。台湾独立を志向する民進党にこのまま政権を任せるか、あるいは中国との融和的な政策を掲げる国民党に再び政権を渡すのか。 一九九〇年代に始まった台湾の民主化プロセスは、九六年の初の直接総統選挙を経て、二〇〇〇年に国民党から民進党への劇的な政権交代につながった。民主化運動を母体とする民進党が、戦後に独裁体制を敷いた国民党を一滴の流血もなく倒したことは、世界に驚きを与えた。〇四年の総統選でも民進党は連勝。そして八年間におよぶ執政の成績表が有権者から示されるのが今度の選挙だ。 民進党の勝利ならば同党が究極的に目指す「台湾国」建国への道のりは、かなりの程度、台湾住民の確固たる選択となるだろう。一方、国民党の勝利ならば時計の針は少なくとも九〇年代までの台湾に回帰し、中国と台湾の関係は「一つの中国」という共通の土俵に戻るだろう。 一月十二日に投開票された立法院(一院制の国会)選挙は、総統選の二カ月前という、台湾では過去に例のない事実上のダブル選挙の前半戦だった。しかし、明らかになった選挙結果は、総統選の前哨戦と位置づけるにはあまりに巨大な衝撃を台湾政局に与えるものだった。

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