前途ある高校生に書き送った言葉

執筆者:梅田望夫2008年2月号

「男子三日会わざれば刮目して見よ」という言葉通りの経験をした。スタンフォード大学大学院(コンピュータ科学専攻)に留学が決まったR君を紹介されたのは、一昨年夏のことだったが、十五カ月ぶり(さすがに三日ぶりではないが)に再会したR君はたくましく成長していた。 開口一番「東大の大学院時代の百倍は勉強しています。課題は多いし、競争も激しく、やりがいもありますから」とR君。一年時の成績と成果物で「上位五%の学生」に与えられる優等賞を取った彼は、「大学内で目立つ活躍をしていると、グーグル、マイクロソフトから有望ベンチャーまで、いたるところから直接声がかかってくるんです。驚きました。注目されていることが大きなやりがいにつながっています」と言う。アメリカのハイテク企業の才能探索・獲得システムはプロスポーツのそれに近く、しかもそこには人種や国籍による区別はない。やればやるだけ伸びていく環境で、もまれ、日々成長しているR君は自信に溢れていた。「二十代で自分も留学したかったなあ」と思いながら帰宅すると、日本の高校生からこんなメールが飛び込んできていた。「僕は今高2なのですが、今迷っているのは、東大に行くか?それとも留学するか?ということです。東大に行くというのは僕の周りの大人の人たちの言う最善手です。でも大きなスパンで考えてみれば、東大よりも留学したほうが得られるものは大きいし、自分の視野もぐっと広がると思うのです。あと、どちらにせよ、自分がいけると思った時点で起業をしようと考えています。現時点ですでに実現したいサービスのアイデアがかなりの数あり、日々増え続ける一方です。東大に行くのか?留学するのか?それともすぐに働くのか?についていろいろと悩んでおります」

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