世界各国にある日本の在外公館にとって、毎年十二月に開く天皇誕生日レセプションは、いわゆるナショナルデーの祝賀行事で外交上重要なイベントである。そのレセプションで昨年、幾つかの日本大使公邸で日本産ワインが初めて出され、大きな評判を呼んだ。 日本産ワインを出したのはカンボジア、マレーシア、ラオスの東南アジア三カ国、そしてコンゴ、ガボンのアフリカ二カ国にある日本大使公邸。外務省が試験的に実施したもので、一昨年の国産ワインコンクールで入賞した中から三種類が選ばれた。 甲州シュールリー05年(白)、グラン・ポレール長野古里ぶどう園シャルドネ05年(白)、それにソラリス信州千曲川産メルロー03年(赤)。 五公館合わせて四十四ケース五百二十八本。一公館当たり百本前後が送られた。 十二月七日にレセプションをもったカンボジアの日本大使公邸では、篠原勝弘大使が「皆さんのグラスに注がれたワインは日本産です」と紹介すると、約四百人の招待客からどよめきが起き、スピーチが終わるやワインコーナーに人が群がった。 特に人気だったのが、シャルドネ種の白とメルロー種の赤。旧ポル・ポト政権の大虐殺を裁く特別法廷のフランス人予審判事は「ワイン好きの私から見ても、このワインは素晴らしい。このワインを飲むためだけに日本大使公邸に招かれる価値がある」と絶賛した。

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