もともと返済能力の低い顧客に、バカ高い金利をふっかけるサブプライム。日本のヤクザも顔負けの犯罪的手法だったのだ。 米経済番組CNBCが選ぶ毎年恒例の「今年のCEO(最高経営責任者)」。二〇〇七年は、iフォンなど画期的な新商品を世に送り出したアップルのスティーブ・ジョブズCEOと並んで、住宅ローン最大手カントリーワイド・ファイナンシャルのアンジェロ・モジロCEOがノミネートされた。サブプライム問題の「顔」として出演した番組が高視聴率を稼いだのが理由だという。タチの悪い冗談のような人選だった。 一九六九年にモジロCEOが仲間と創業したカントリーワイドは、今や六万人もの従業員をかかえ、二千億ドルの資産を保有する全米一の住宅ローン会社。だが、ノミネートの発表後、同社には非難が殺到したという。そもそも過剰な融資でサブプライム問題の元凶を作ったのに盗人猛々しいという抗議だった。 米シティグループや米メリルリンチ証券の経営トップが相次いで辞任し、今なお世間を騒がせているサブプライム問題。欧米金融機関がこれまでに発表した七百億ドル(約七兆五千億円)という損失額の大きさばかりが目をひくが、その本質を探ると米国の社会問題に行き着く。

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