三十三年ぶりの与野党三極の戦いとなった大阪府知事選(一月二十七日投開票)は、弁護士でタレントの橋下徹氏(三八)出馬で地元マスコミが盛り上がりをみせているのとは対照的に、いつもなら力が入るはずの関西経済界にしらけムードが漂っている。 今回の府知事選混乱の発端には、現職の太田房江知事を引きずり降ろそうとした人たちの“暗躍”がある。 太田氏と不仲だった元財務相の塩川正十郎氏、作家の堺屋太一氏、JR西日本元会長の井手正敬氏らだ。昨秋から太田氏の三選阻止に向けて対立候補を探し始め、元官僚や大手企業幹部らに打診して回った。が、調整がつかず困っていたときに、堺屋氏と親しい弁護士が連れてきたのが橋下氏だった。「若すぎるし、軽すぎる」と難色を示す向きもあったが、抜群の知名度という誘惑に負けて担ぐことを決めたのである。 そもそも関西財界には三選を目論む太田氏に不満が渦巻いていた。問題はその行状。太田氏は目に余る酒乱で大阪・北新地の高級クラブで好きなカラオケを歌うだけならまだしも、泣きわめいたり、高級料亭で酒席を共にした経営者らに抱きついてしまったこともあったという。さらに泥酔して「どうしても大阪が好きになれない」などと口走るので、「あれでは知事失格」と呆れ返る経営者が多かったのである。結局、太田氏は「政治とカネの問題」で、三選出馬断念に追い込まれた。

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