二月二十五日、韓国に十年ぶりの保守政権が発足する。経営者としての経歴が注目を集める新大統領だが、その誕生の陰には今も大きな力を持つ一人の政治家の存在があった。[ソウル発]昨年末の大統領選で保守野党ハンナラ党の李明博が当選した後、一月十一日夕、ソウル中心街のロッテホテルの大宴会場で「金泳三大統領八十歳(傘寿)祝賀パーティー」が開かれた。韓国ではいちど大統領をやると、退任した後でもずっと「大統領」といわれる。金泳三は一九九三年から九八年まで在任したから、実際は「元」なのだが。 パーティーは出席者が約六百人でテーブルに着席し、食事は洋食でワイン付きのフルコースだった。会場はマスコミの取材陣や当選したばかりの李明博次期大統領の警護関係者などもふくめ、人びとであふれ返っていた。筆者をはじめ外国人記者も招かれた。金泳三の政治人生や業績を紹介する映像や、要人のスピーチ、歌曲競演などもあり、祝賀宴は熱気にあふれ遅くまで盛り上がった。 ハイライトは李明博次期大統領の入場と、その感謝のスピーチだった。彼は当選直後、直ちに金泳三の自宅を訪れ謝意を表しているが、パーティーでも壇上に立ち、大統領当選に際しての金泳三の協力、支援を強調し手厚く感謝の言葉を述べた。パーティーは金泳三の誕生祝いだったが、李明博当選がなければあれほどの熱気と盛り上がりはなかっただろう。パーティーは李明博当選祝賀の意味もあったのだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。