規律なき「政」「官」連携状態の見直しを

執筆者:佐々木毅2008年3月号

政治「家」を満足させ官主導を温存する現在の関係が続けば、待つのは「消耗」と「共倒れ」。政官界「切り分け」と政策能力「結集」の時だ。 公務員制度改革についての議論の中で「政」と「官」の関係が再び取り上げられた。一部においては両者の全面的な接触禁止がテーマになっているかのような印象を与える報道があったが、これは過剰反応であるか、あるいは問題の焦点を「ずらす」政治的意図を感じさせるものであった。一月末に出された「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」の報告書は「政官の接触の集中管理」という結論を提言したが、この問題は「点」だけで是非を論ずることはできない。ここでは政治のあり方を含め、この問題を考えるための視点を展開してみたい。「政」と「官」の関係を論ずるためにはその歴史的展開を視野に入れておく必要がある。民主化が端的に言えば「政」による「官」のコントロールを意味した限り、「官」の政党化は一つの帰結であった。あらゆる官職が選挙結果によって左右され、個々の行政活動が党派性によって支配された十九世紀のアメリカの状況はその典型とされてきた。いわゆる「猟官制」の時代である。これが撒き散らした甚だしい行政の腐敗と専門性の低下を反省しつつ、やがて政治的影響を排して専ら専門的知識や学歴などの客観的基準に基づいて官僚を試験・任用する仕組みが登場する。これが「メリット・システム」と呼ばれるものである。

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