総選挙の勝利を受け、5月8日にスピーチを行ったキャメロン英首相 (C)AFP=時事

[ロンドン発]土俵際まで追い込まれていた英国伝統の2大政党制は、最後の最後で有権者が保守党・キャメロン首相の単独政権を選択したことで何とか命脈を保った。保守党は2017年末までに欧州連合(EU)残留か離脱かを問う国民投票を実施することをマニフェスト(政権公約)に掲げている。英国北部のスコットランドでは同地方の分離・独立を党是とするスコットランド民族党(SNP)が定数59のうち56議席を占める大躍進を見せた。財政再建と経済成長を両立させた政権運営の手腕を評価された形のキャメロン首相だが、自ら種をまいてしまった「EU離脱」「スコットランド独立」という難問に次の5年間で直面することになる。7日に投票が行われた英総選挙の意味は何か、ロンドンから報告する。

 

「労働党連立政権」への不安

 投票が打ち切られた7日午後10時、「総選挙の夜」と題した討論会が夜通しで開催されたロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの大教室は「ウォー」というどよめきと驚きに包まれた。出口調査の結果は、与党・保守党316議席、最大野党・労働党239議席、SNP58議席、保守党と連立を組んでいた自由民主党10議席、そしてEU離脱を主張するシングルイシュー政党・英国独立党(UKIP)2議席。どの政党も単独過半数に届かない「ハング・パーラメント(宙ぶらりの議会)」になる見通しが示されたが、各種世論調査や選挙予想が描いていた「保守党に迫る労働党」「過半数を満たす組み合わせは労働党+SNP+自由民主党の3党連立だけ」という絵図とは大きく異なり、保守党の勝利を初めて浮かび上がらせた。さらに予想を上回るSNPの大勝利となった。

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