「国共トップ会談」をどう読み解くか

執筆者:野嶋剛2015年5月13日

 中国共産党の習近平総書記と台湾の与党・国民党の朱立倫主席が5月4日、国共トップ会談を北京で行った。2005年の歴史的初会談以来、4度目の開催となるが、習近平、朱立倫両氏とも「初体験」のうえ、2人は初顔合わせ。中台関係が安定局面から停滞局面に差し掛かりつつあるなか、成り行きが注目されたが、両者とも「安全運転」に徹した感が強い。ただ、中国、台湾それぞれの思惑も各所ににじみ出ていた。

 

「心と心の通じ合い」

 会談直前に中国の台湾政策ブレーンが「台湾に利益を譲るような時代は終わった」という発言をしていただけに、習氏が台湾に厳しい態度を取るとも予想されたが、穏やかな対応が目立った。中国側にもいろいろ言いたいことはあっただろうが、来年1月の台湾総統選を控えたこの段階で国民党を一層不利にすることは避けたのだろう。

 習氏が朱氏に対して語った「5つの主張」の内容は以下の通りである。

 

(1)「1992年コンセンサス」と「台湾独立」反対の堅持は、両岸(中台)関係の平和的発展の政治的な基礎で、大陸と台湾が共に1つの中国に属することを認めることがその核心である。

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