膨大な鉱物資源が眠っているとされる北極圏の権益をめぐり各国の鍔迫り合いが繰り広げられる中、今度は中国もこの争いに加わろうとしている。 ロンドンの外交筋によれば、中国は今春にも、アイスランドとの間で自由貿易協定(FTA)を締結する可能性がある。協定は、中国がアイスランド側の要求に大幅に譲歩したものになるもようで、その最大の理由は、アイスランドとの関係緊密化を図り、北極圏の権益確保への第一歩を固めるためだという。 アイスランドは、北極圏の環境・経済・社会の諸問題を協議する「北極評議会」(一九九六年設立)のメンバー国で、米国、ロシア、カナダといった他の有力加盟国と並び大きな発言権を有している。中国が昨年暮れの同評議会にオブザーバーとして出席した裏には、アイスランドの後押しがあったとされる。 ニューヨークの国連筋によれば、中国は、安保理常任理事国であるイギリスやフランスもオブザーバーとして北極評議会に参加していることに焦りを感じ、一昨年からアイスランドに強く働きかけていたという。前出の外交筋は「中国はアイスランドに対しFTA締結と引き換えに合弁事業として港湾建設を提案している」と述べている。

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