二月十八日の総選挙に向け、パキスタンで選挙運動を展開中のナワズ・シャリフ元首相に対し、サウジアラビアが身辺警護を申し出ている。 シャリフ元首相が率いる野党パキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派(PML-N)パンジャブ州事務所のラジャ・アシュラク・サルワル事務局長によると、昨年十二月にベナジル・ブット元首相が暗殺されたことを受け、サウジアラビアは元首相と弟で同党幹部のシャバズ・シャリフ氏に護衛の提供をもちかけたという。その詳細と、シャリフが申し出を受けたかどうかは明らかでないが、PML-Nはパキスタン政府がシャリフ兄弟に十分な警備を与えていないと非難する。 シャリフとサウジ王室との関係は一九九〇年代に遡る。とりわけ、九八年五月にパキスタンが核実験に成功してから緊密度は増した。翌年五月には、スルタン王子(現皇太子)がパキスタンを訪問。当時首相のシャリフ自らウラン濃縮施設と中距離弾道ミサイル・ガウリを製造する工場を案内した。この時、王子にブリーフィングを行なったのが、パキスタンの「核の父」と呼ばれたA. Q. カーンである。 シャリフが首相だった九〇年代、パキスタンの核およびミサイル開発を間接的に支えていたのが、実はサウジアラビアだった。核技術と引き換えにパキスタンが北朝鮮からガウリの基となったノドンミサイルを手に入れた頃、パキスタン経済は崩壊寸前だった。それを救ったのがサウジアラビアだ。

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